マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作のテレビアニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」が人気を集めている。ブルーレイディスク&DVDやグッズが好調といい、原作のコミックスもテレビアニメの放送が始まってから、売り上げを伸ばし、累計発行部数1000万部を突破。ストーリー、キャラクターなどさまざまな魅力があるが、中でも“神作画”とも言われる美しい映像が話題だ。“神作画”が生まれる裏側を探った。

 ◇葛飾北斎の浮世絵にある波をイメージして動かす

 「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、凶暴な鬼に変異した妹の禰豆子(ねずこ)を元に戻し、家族を殺した鬼を討つために旅立つ……というストーリー。2016年から「週刊少年ジャンプ」で連載中。テレビアニメは、「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」「活撃 刀剣乱舞」などのufotable(ユーフォーテーブル)が制作。ufotableの作品は、これまでも美しい映像に定評があったが、「鬼滅の刃」では特に戦闘シーンの美しさが際立っている。

 炭治郎が攻撃の際に繰り出す「水の呼吸」の表現は浮世絵のようにも見え、とにかく美しい。中でも話題になったのが、炭治郎がヒノカミ神楽の呼吸で強敵に立ち向かった第19話「ヒノカミ」で、SNSで「神回」「神作画」などの絶賛の声が多く見られた。アニメを手がけるアニプレックスの高橋祐馬プロデューサーによると、戦闘シーンは試行錯誤の連続だったという。

 「炭治郎が繰り出す水の呼吸のアニメ表現を見た時、子供の頃に感じたような、マンガがアニメになるワクワクと喜びを強く抱いたのでうれしかったです。逆に言えば、あの表現を作られるスタッフの皆さんは本当に大変で、アニメ『鬼滅の刃』は、マンガに真摯(しんし)に向き合うすごい映像力の連続です。水の呼吸の映像は、作画と3Dのハイブリッドで制作されているのですが、現在の表現に至るまで監督とスタッフが動きやビジュアルについてアイデアを出し合い、何度も試行錯誤を重ねて作られています。あの表現は『葛飾北斎の浮世絵にある波をイメージし、それを動かす』というコンセプトなのですが、言うは易(やす)く行うは難しで、初めて見たアニメ表現だったので驚きました」

 ◇努力をあらゆる作業で一切惜しまない

 アニメ「鬼滅の刃」は細部までこだわり抜いて制作されている。高橋プロデューサーは「『最高の鬼滅の刃を作る』が全ての指針です。原作が非常に面白いので、『鬼滅にとって何が良いのか』『どうすれば鬼滅の魅力を最大限引き出せるのか』にスタッフ、キャストが真摯に向き合っています」とも話す。「最高の鬼滅の刃を作る」ために何度もやり直すこともあるという。

 「例えば、第1話で冨岡義勇が叫ぶシーン(『生殺与奪の権』を炭治郎に問うシーン)は、当初、一度作画を終えて色を着けてみたところ、原作の迫力から少し遠かったため、なぜそう感じるかをさまざま検討した上で、輪郭の作画の濃淡や色合いなどを何度も何度もやり直し今の迫力ある映像に至っています。そうした努力をあらゆる作業、映像も音楽も声も全てで一切惜しまず、アニメ制作が進んでいます。本編BGMは、毎話ごとにフィルムスコアリング(映像に合わせて音楽を作る手法)です」

 アニメは9月28日放送の第26話「新たなる任務」でついに最終回を迎える。最後まで、高橋さんの「初めて見たアニメ表現」で驚かせてくれそうだ。

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